30年疎遠だった父親が遺したもの
先週金曜日の深夜、病院からの緊急の知らせが入る。
看護師から利用者さん(以下、Aさんという)が急変して「呼吸困難の状態です」「看とりにお越しください」との連絡。
病院に駆けつけると深夜3時すぎに息を引き取られました。
このAさんと初めて面会して委任契約の説明を行ったのが3月19日。
親族が来名した28日に業務委託契約を締結して、わずか1週間でした。
もっと早くに病院の相談室が私たちのような権利擁護の団体につなげて、ご本人の気持ちや希望をお聞きできなかったのかと痛恨の極みです。
たしかにAさんは30年前に離婚して独居暮らしを続け、「勝手気まま」な人生をおくつていたかもしれません。
しかし、最後ぐらいご本人からの声を聞いてあげるのが人情ではないかと思うのは古い考えでしょうか。
享年78歳のAさんが遺したものは「借金」と「医療費の未払い」、それに 「住居の後始末」などです。
息子さんは鹿児島から一泊2日で葬儀に立ち会い、拾骨もせずにお帰りになりました。
後は死後事務処理として当法人が手続き支援を行うことになります。
携帯電話の解約は「死亡診断書」だけで代行できても、クレジットカードの取り消しは親族がいる場合は親族しかできません。
鹿児島へ手紙を出す準備をしなければなりません。
また、役所関係だけでも
①印鑑登録手帳、マイナンバーカードの返納は「市民課」
②後期高齢者医療保険証は保険証を返納して葬祭費の受給申請は「保険年金課」
③年金関係で国民年金は「保険年金課」ただし、厚生年金は「年金事務所」へ
④介護保険の喪失届は「福祉課」
などなどです。
遺された負債は早速弁護士との打合せをし、消費者金融には「取引履歴の開示」をもとめることに…。
もし「過払い」でなければ相続放棄の手続きも必要とのアドバイスです。
賃貸アパートの大家さん探しからNHK受信停止、電気・ガス・水道の停止手続き等、やること一杯の週明けです。


事務所に帰ると落合公園の桜が満開で、もう散り始めていました。
「満開の桜も見ずに散って行ったAさん」を少し想いながら、後は任してくださいと心で話しかけました。
理事・立木勝義
(「終活」コ―ディネータ―)
(「終活」コ―ディネータ―)
https://yui-station.org/
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