相続人も認知症?で遺産相続ができない…
4月下旬に突然、利用者さんの姉の後見人から手紙が届きました。
内容は「引継書」との表題で、亡くなった姉の財産目録及びその存在を裏付ける資料が記載されているものでした。
利用者さんの姉は昨年の12月に死去されていて、後見人が財産管理などをされていたものです。
通知を受けた相続人の一人である利用者さんも最近になって「判断力が低下」しており、
姉の死亡の事実について「私聞いていないよ」という状態で施設に入所しています。
相続人は利用者さんを含めて3人です。
それぞれ他府県に住んでおられ、相談や打合せも容易ではありません。
その上に相続人のひとりである利用者さんが認知症の疑いとなれば、相続財産の分割協議書も作成できないことになってしまいます。

今回の事例は、姉の後見人による相続人調査と財産の調査、財産の引き継ぎに6ケ月近くかかっています。
この後は相続人による分割協議書作成となりますが、相続人の一人が後見の申し立てをする必要性が出ており、
後見人選任まで約3ケ月、遺産分割協議書作成まで1ケ月近く、合計するとお姉さんの遺産相続が終わるのにはおおむね1年近くかかることになります。

このように認知症対策は自己判断ができるうちに意思表示をしておかないと大変な時間と労力が求められることになります。
相続トラブルの防止には親など本人が元気なうちに自分の死後について考え、家族のために遺言などを準備しておくことが大切です。(2019/5/16中日新聞「介護を糸口に遺言を促す」より)
問題は、もし、自分が認知症になったときの準備は?誰も言い出せないのですが…。
言い出すチャンスは「介護」の話題から入るのが無難で、法律の専門家など第三者を介して関係者全員が参加する中で話し合っておくことだそうです。
やはり、任意後見契約や死後事務委任契約と遺言は最低限準備していくべきと考えます。
問題は「自分の最期を、いつ、誰に委ねるか」という問題ですね。
認知症の方の支援のあり方は、権利擁護団体としては一人ひとりの利用者さんごとに対応が違う重要な課題となっています。
臨機応変に期待に応えることのできる団体に成長して行きたいです。
理事・立木勝義
(「終活」コ―ディネータ―)
(「終活」コ―ディネータ―)
https://yui-station.org/
この記事へのコメント