「国葬」と「民生葬」のギャップ

9月27日、国を「挙げて」元総理大臣の葬儀が行われました。

世論を二分するどころか「反対」の世論が多数となった「国葬」問題。
一般献花2万5000人、217の国、地域、国際機関の代表団の734人が参列したそうです。
かかった費用は数10億円でいまだ不明です。

実施の法的根拠なども課題となっています。

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一方で生活保護受給者の「葬祭費」(民生葬)は基準額が20万9000円以内と定められています。【2019年度版「生活保護手帳」から引用】


9月5日、生活扶助を受けていた利用者さんが亡くなりました。
奥様にも先立たれ、親族との関係は薄く、グループホームから体調不良で病院に入院後に亡くなりました。

満81歳の男性です。

病院の遺品整理と各施設利用料等の精算を行うのも私たち権利擁護団体の仕事です。
後は役所の生活保護課に連絡して、民生葬の手配をお願いすることになります。
役所は親族調査を行い、連絡できる親族を探すことになります。
それからでないと「葬儀」を行わないことになっています。
この業務が大変に時間がかかるために、死後1年以上も葬儀会社の霊安室に「放置」されていたとの事例もあります。

国はあくまで親族に葬儀の責任を負わせること求めているのです。

個人の尊厳などは関係なしです。

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保護係にお願いしない場合であっても、葬儀を私一人(身元保証団体の責任者)が見送るという寂しいものです。
今回の事例は、親族と事前に連絡をとれていたため、すぐに葬儀をおこなうことができました。
しかし、その内容は「1日葬」です。
利用者さんが亡くなった翌日に告別式のみをおこなうというものです。
参列したのは「姪」の方のみです。

かかった費用は約22万円です。
極端ですが、先の「国葬」とは随分の差です。

人は誰も平等でありたいと思うのは私だけでしょうか?

生活保護受給者の支援はわが法人にとっても大変なリスクを抱えての支援となります。
生活困窮者に対する国の施策が遅れていると感じます。

こんな国のあり方に疑問を持つのは私だけでしょうか。

代表理事 立木 勝義
(終活コーディネーター)

https://yui-station.org/

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