利用者さん(以下、Aさん・女性90歳代)は、数年前にご主人を亡くして一人暮らしでした。
今年の春先まで地域の介護事業所のヘルパーさん達の支援で在宅生活を続けていましたが、相談者のケアマネさんから「一人暮らしが困難なので施設入所を勧めたい」との連絡を受け、入所準備から身元保証契約を締結することになりました。
現在、短期入所の扱いで施設での生活を続けておられます。
Aさんには多額の財産が存在していることが分かり、相続人を調査したところ、どなたも相続人がいないことが判明しました。
そこで、Aさんに「相続人がいない」ことを報告。
このままでは財産全部を国に差し出すことになることを伝えると「親族に残したい。お寺に寄付したい」などの希望が出されました。
その希望をかなえるためにはAさん自身の気持ちを書き残す必要があることを説明。
つまり「遺言書」を書くことを推奨しました。

ところが、Aさんは直近の判断能力が低下しつつあり、何度も「おカネは大丈夫か」「昔お世話になった方にお渡ししたい」など遺言の手続きの内容になかなか進まない現実に直面しました。
しばらくして、弁護士との面会を承知され、第一回の面談になりました。
弁護士から遺言の効力や必要性など説明をされましたが、Aさんは納得できず「もう少し考えます」との返事を繰り返すばかりでした。
12月に入って、関係者が慎重に話をすすめ、本人の希望に沿った遺言書を書くことに同意され、弁護士に委任することになりました。
これから財産確認や寄贈先の確認など準備することになり、来年の2月ごろまで時間がかかる予定です。それまでAさんが元気に暮らされることを祈るばかりです。

別の方(Bさん・女性80代後半)の事例では、Bさんの認知症が進行しているため「遺言書」の手続きに入れず、ご主人のお墓などの世話を依頼されている親族が、必要経費などBさんから受け取れずに困っているケースがあります。
「遺言書をいつの時点で書くか」法人の利用者さんの多くが迷っておられます。
私たち法人からご本人の「死後」の話である財産の寄贈先についてお聞きするのは気が引ける課題です。
遺言書を書き残す時期がいつなのか、悩ましい問題です。
代表理事 立木 勝義
(終活コーディネーター)
(終活コーディネーター)
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